造船立国ニッポン
いま再起動の時
かつて日本は、世界の海を席巻する「造船立国」としてその名を轟かせました。1960年代から1980年代にかけて、日本は世界最大の商船建造国として、経済成長の一翼を担いました。しかし現在、その栄光は遠くなりつつあります。中国や韓国が国家支援の下で造船産業を育成し、価格・技術・納期の面で優位に立つなか、日本は新燃料船の世界受注シェアでわずか4~6%にとどまっています。国内では高齢化、人材流出、技術の空洞化が進み、特殊船や新燃料船といった高度設計領域でも“技術の継承断絶”が目前に迫っています。造船の力は単なる経済活動の一部ではなく、経済安全保障・エネルギー安全保障の根幹とも言えるものです。この状況に危機感を持ち、「今なら、まだ間に合う」と立ち上がったのがGSCです。
GSC設立のビジョンと背景
「機会」と「脅威」から読み解く
2050年ネットゼロ目標に向けて、海運・船舶分野では脱炭素化の加速が求められています。環境対応型の代替燃料船の建造需要が急増する中、日本造船業はその「機会」を最大限に活かす必要があります。一方で、韓国・中国の国家支援による競争力強化や、経済安全保障上の課題、国内産業の研究開発リソース不足といった「脅威」も顕在化しています。こうした背景を踏まえ、GSCは2020年10月に設立され、「All Japan体制」の構築を通じて技術・商品開発力を結集し、競争力と対応力の強化を図っています。
産業支援を超えた
共創プラットフォームへ
GSCは、2020年10月に設立された一般財団法人で、日本の海事産業が脱炭素化と技術競争に対応するための中核的な支援機関です。 造船会社、舶用機器メーカー、海運会社、大学、研究機関、行政機関が一体となり、産業横断で取り組む「産学官の共創プラットフォーム」として位置づけられています。 特定の企業や業界に属さず、技術・情報・人材を共有する“ハブ”として、GSCは単なる研究機関にとどまらず、日本全体の産業基盤を支える結節点を目指しています。 現在は、日本海事協会(NK)および会員造船会社などから派遣されたエンジニアや統括スタッフ等で構成され、約25名体制で運営されています。
情報収集・調査・分析
IMOルール改正/代替燃料の動向
ゼロエミッション移行期の需要予測
フリートシミュレーター開発 など
新燃料船の設計開発支援
新燃料船の基本設計
機関室他の3D設計
商談対応図面作成
会員造船会社との共同プロジェクト など
舶用機器サプライチェーン
再構築支援
機器標準構成の提案
国内サプライヤーの発掘
モジュール化支援
機器メーカーとの開発協業 など
危機の“事実”と
向き合う
GSCは、2020年10月に設立された一般財団法人で、日本の海事産業が脱炭素化と技術競争に対応するための中核的な支援機関です。 造船会社、舶用機器メーカー、海運会社、大学、研究機関、行政機関が一体となり、産業横断で取り組む「産学官の共創プラットフォーム」として位置づけられています。 特定の企業や業界に属さず、技術・情報・人材を共有する“ハブ”として、GSCは単なる研究機関にとどまらず、日本全体の産業基盤を支える結節点を目指しています。 現在は、日本海事協会(NK)および会員造船会社などから派遣されたエンジニアや統括スタッフ等で構成され、約25名体制で運営されています。
ALL JAPANによる
産業共創のかたち
GSCは、特定の企業や業界に属するのではなく、日本全体の造船産業インフラを次世代へ継承する「技術の共創基盤」です。造船会社、舶用機器メーカー、大学・研究機関、海運会社などが連携し、横断的な知見と設計力を結集することで、「1社ではできないこと」に挑みます。 かつて英国が造船覇権を失ったのは、技術革新の停滞・技術者の減少・コスト競争の劣後等でした。いま日本もその岐路に立たされています。 だからこそ、次世代の海事産業を支える「技術の共創基盤」として、GSCは持続可能な技術の発展を描く旗手となるのです。
GSCの役割
ゼロエミに関する方向性を見極め、解決すべき各種の課題に、関連する各種業界と連携して対応する役割を担っています。
国際機関・JG・船級・造船所・メーカーに通じた陣容がそろう
単なる研究機関ではなく、業界全体の座標軸を整える、戦略的プラットフォーム
GSCの主な活動
規制の動向調査
代替燃料の評価
設計・仕様への影響分析
新燃料の導入判断
どのタイミングでどんな船を建造すればよいか
外部研究機関 × GSC
試験・実証フェーズにおける
科学的根拠の蓄積と技術的裏付けの推進
産業分野をまたいで、課題解決にアプローチ
造船会社・舶用機器メーカー × GSC
・要素技術開発や機器配置、標準化設計を推進
・代替燃料対応のサプライチェーンの構築
・開発支援、仕様の共通化や標準化支援
産業分野をまたいで、課題解決にアプローチ
ClassNK × GSC
GSCが収集した情報や開発成果は、
設計や安全評価に反映され、
ルール化・標準化につながっています。
荷主・船主・海運会社
代替燃料の導入方針
設計・仕様に関する意思決定
導入タイミングなど
技術検討を依頼
一部検討費用
GSC
情報提供
技術支援
新燃料船の導入を判断するための様々なデータ