一般財団法人次世代環境船舶開発センター(GSC)は、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所(NMRI)、ジャパン マリンユナイテッド株式会社(JMU)と協働して2年間にわたる研究プロジェクトを実施し、風や波を想定した航路を運航したときのトン・マイル当たりの燃費(以下「実海域エネルギー効率」という。)を約30%向上するマラッカ型VLCCを開発しました。
この研究開発の特徴は、”現在投入可能な技術をすべて適用した場合にどの程度エネルギー効率が向上するか” を最新の評価技術を用いて明らかにした点です。具体的には年間貨物輸送量を維持しながら幅広化と低速化の最適組合せとなる船型を探索し、空気潤滑システム、風力推進システム(硬翼帆)、実海域省エネ船首COVE1)等の省エネ技術を採用するとともに、波・風を考慮したウェザールーティングを併用しています。
今後はJMUにおいて詳細検討を継続し、国際海運の脱炭素化に向けて実現可能性及び適用可能性の検討を進めていく考えです。
この研究プロジェクトはGSCが日本造船の具体的な商品競争力強化を目的に企画・主催し、NMRIが自所で開発した省エネ技術とその評価技術を駆使してシステム設計を実施、JMUが技術的な実現性及び事業性を踏まえた船型設計等を担当し実現したものです。
現在、温室効果ガス(GHG)のゼロ・エミッション化に関してはIMOを始めとして、代替燃料への転換について積極的に議論されています。しかしながら代替燃料は高価なため、これまで以上にエネルギー効率の向上が望まれています。そこで、年間貨物輸送量を保持しつつ幅広化と低速化を理論的に自動検索して、これまでの標準的な船型要目の範疇にはない最適船型を採用しました。さらに空気潤滑システム、風力推進システム(硬翼帆)、実海域省エネ船首COVE 1)といった省エネ技術の組み合わせと、更にこれら省エネ技術の効果を最大化するためのウェザールーティングの採用により、約30%の実海域エネルギー効率の向上を実現しました。
複数の省エネ技術を採用する場合、それぞれの干渉により効果が減殺する可能性もあるため、その影響を加味した燃費性能の評価が必要です。本プロジェクトではNMRIの実運航性能シミュレータVESTA 2)を用いて、複数の省エネ技術を組み合わせた場合の燃料消費量の推定を行うとともに、VESTAモデルを採用したウェザールーティングにより、波・風による船速変化・燃費変化を高精度で評価しています。
この新コンセプト船は、航海速力の低速化により年間の航海数は減少しますが、載貨重量の増加によって貨物の年間輸送量は比較対象としたマラッカ型VLCC(EEDI-PhaseⅢ相当)と同一であり、ウェザールーティングもETA(到着予定時刻)を同一(航路航走時間を同一)とする条件で実施しているので、必要とされる1隻当たりの年間輸送量を維持できることも確認しています。
今後は、JMUにより建造に向けた詳細検討を継続し、脱炭素化に向けた日本の造船技術力・研究開発力を世界にアピールしていきます。
参考文献
1) 実海域省エネ装置:COVE
2) 実運航性能シミュレータ:VESTA

新コンセプト船のイメージ図
以上
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